ルネサンスを代表するイタリアの画家ボッティチェリの一大傑作『 ラ・プリマヴェーラ(春)』(1482年頃)をドイツ生まれの版画家ガイガーが1894年に銅版画で復刻し、パリで摺り、パリの版元から限定50部で発行されました。
このたびイーアートから原寸大複製画(超高精細デジタルプリント)を限定90部で再生、 発行いたします。
銅版版画家ガイガーがウフィツィ美術館に通ってボッティチェリの原画『ラ・プリマヴェーラ(春)』を銅版画にするためにスケッチしました。驚異的な彫刻技法と忍耐力を駆使しても1平方センチメートルを彫るのに丸一日かかったほどの念入りな作業だったことが想像できます。
そうした結果、超絶技巧は全画面の隅々にまでゆきわたり、その緻密で複雑な線刻の流れるような人物や自然の描写には思わず目を奪われます。
ヨーロッパ大陸を主戦場とした二度の世界大戦による破壊と社会混乱を経て多くの美術品が散逸してしまいました。銅版画などの版画は、絵画に比べれ手軽に収納し、鑑賞し易い利点もあり、都市部の住宅に収蔵されていた事例が多く、かなりの作品が爆撃や砲撃で焼失、また略奪などにより行方不明となる運命を辿っています。
この作品もパリで限定50部が摺られたものの、現在では何点残存しているか、正確には把握されていません。
地政学的ならびに金融面でロンドンは古くから世界有数の美術市場であり、レンブラントなどの貴重なエッチングやドローイングなども古くからロン
ドンで蒐集されていました。
このガイガー制作の銅版画『ラ・プリマヴェーラ(春)』も今から30年ほど前にロンドンの美術市場で発見されたものです。われわれの知る限りでは世界で現存する唯一の1点です。
題名 | 『 ラ・プリマヴェーラ (春) 』 |
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原画家 | サンドロ・ボッティチェリ(1444/45~1510) |
版画家 | エルンスト・モリッツ・ガイガー(1861~1941) ドイツ生まれの画家、版画家、彫刻家 |
制作年 | 1894年 |
版式 | 銅版画(エッチング、ラインエングレービング他による混合技法) |
摺師 | A・サルモン&アルダイユ パリの印刷工房 |
版元 | シャルル・ゼーデルマイヤー(パリ) |
発行部数 | 50部 (マージンにE. M. Geygerの署名、ボッティチェリの顔と英国版画商協会PSA刻印付き) |